東京の机から、海外プラントを「いつでも見える」状態にする。
概要
| クライアント | 国内大手産業機械メーカー(社名非公開) |
| プロジェクト種別 | 海外プラント向け遠隔エネルギー監視システム構築 |
| 期間 | 18 ヶ月(要件定義 2 ヶ月 + 構築 8 ヶ月 + 段階導入 8 ヶ月) |
| 対象拠点 | 東南アジア・中東の合計 4 プラント |
| 提供技術 | マルチモータドライブ制御 + PC ベースエネルギー監視 + インターネット応用遠隔監視 |
クライアントの課題
海外に持っているプラントは、現地スタッフ中心で運営しています。
日常運用は問題ないのですが、異常時の判断が遅れる、データが残らない、本社に共有されにくい。
この 3 点が長年の課題でした。
ローカル PLC のログは現地に留まり、月次の報告書にしか上がってこない。
それに、SDGs 報告のためにも、各拠点のエネルギー使用量を装置単位で把握したかった。
取り組んだこと
Phase 1. 既存設備の現状把握(2 ヶ月)
4 プラントすべての既存制御盤・センサー構成・通信環境を実地調査。
プラントごとに異なる電圧・周波数・通信規格・言語環境を整理。
Phase 2. 階層化監視アーキテクチャ設計(2 ヶ月)
[Local Layer] 各プラントのモータ・センサー・PLC
↓ (現地データ収集サーバ)
[Edge Layer] プラント単位での集約 PC・トルクリップル/高調波/力率の解析
↓ (TLS over Internet)
[Hub Layer] 東京本社の集約サーバ・ダッシュボード
↓
[Visualization] 4 プラント横断の比較ダッシュボード
Phase 3. 段階導入(8 ヶ月)
リスク低減のため、4 プラントを 2 ヶ月単位で段階導入。
各プラントの導入後 1 ヶ月は現地スタッフと並走し、本社オペレーション体制を確立。
成果(導入 6 ヶ月後の測定値)
| 指標 | 導入前 | 導入後 | 改善 | 暮らしへの効き方 |
| 異常検知から 本社認識までの時間 | 36 時間 | 22 分 | -98% | 無駄なエネルギー消費を抑制 |
| 月次報告書作成工数 (現地) | 18 時間 | 2 時間 | -89% | 現地スタッフが現場改善に時間を回せる |
| エネルギー使用量の 可視化粒度 | プラント単位 (月次) | モータ単位 (リアルタイム) | — | SDGs 報告の精度向上、削減施策の効果が見える |
| 本社からの 遠隔チューニング件数 | 0 件 / 月 | 平均 12 件 / 月 | — | 出張を伴わない改善で CO₂ 削減 |
| トラブル平均 復旧時間 | 14 時間 | 3.2 時間 | -77% | 工場停止による経済損失と不要な電力消費を圧縮 |
『全プラントを画面上で常に眺める』という当たり前の状態が、これまで実現できていなかったのが恥ずかしい。
エアーサーフさんは、プロトコル・電源品質・モータ駆動──普通の SI 会社が手を出さない物理層から見える化してくれた。
監視 SaaS を導入するだけでは、ここまでの粒度には届かない。
SDGs 報告の根拠データが、初めて『胸を張って出せる』状態になりました。──海外事業部 部長(許諾を得て要約)
学んだこと
工場・プラントの遠隔エネルギー監視は、「ダッシュボードを作る」だけでは意味がない。
トルクリップル・高調波・力率といった物理量を測れるところまで階層化することで、初めて「本社からの介入」が可能になる。
そして、見えるようになったエネルギー使用量は、その先で、企業の SDGs 報告書になり、株主向け開示になり、
最終的にはサプライチェーン全体の CO₂ 削減に積み上がっていく。
地味な物理層の仕事が、地球規模の話につながる・・・それが、IT 関連事業の面白さでもあります。

