20 年がかりの基礎研究を、走るゴーカートで証明した話。
概要
| クライアント | 早稲田大学(理工学術院・小野田研究室との共同研究) |
| プロジェクト種別 | 基礎研究 + 実機実証 |
| 期間 | 通算 20 年(基礎理論段階含む) |
| 提供価値 | 完全回転バランス型シリンダー装置の応用可能性を、エアエンジンとして実証 |
| 成果物 | 走行可能なゴーカート、特許複数件、学会発表多数 |
プロジェクト背景
「内サイクロイド曲線を応用すれば、ピストンの往復運動を回転に変換できる・・・理論はそうだが、本当に動くのか?」
これは、創業前から代表が抱えていた問いでした。
レシプロ式エンジンは、ピストンが上下することで動力を生みます。
けれど、その「上下→回転」の変換過程そのものに、振動と機械損失が織り込まれていました。
20 年前、内サイクロイド曲線を応用すれば、機械損失をほぼゼロで往復と回転を相互変換できる、という理論にたどり着きました。
ただ、論文の中だけで終わらせるわけにはいきません。
「動かしてみせて、はじめて未来の暮らしに届く。」
そう考えて、私たちは早稲田大学と組み、実機実証に踏み出しました。
取り組んだこと
Phase 1. 基礎理論と模型試作(2005ー2010)
内サイクロイド機構を再現する模型を、3 度作り直しました。
1 度目は摩擦が予想より大きく、2 度目はバランス調整が不十分、3 度目で「等速回転性」が成立。
この時点で最初の日本特許を出願。
Phase 2. 実機エンジン化(2011ー2018)
早稲田大学小野田研究室との共同研究で、本機構を圧縮空気駆動のエアエンジンとして実機化。
複数の試作機を経て、走行可能なゴーカートに搭載。
日本・米国・欧州への特許出願も並行して進めました。
Phase 3. 適用領域の拡大(2019ー現在)
エアエンジン以外の応用先・・・酸素濃縮器、歯科用コンプレッサー、空調・冷凍コンプレッサー、各種ポンプ
成果
- 取得特許:日本・米国・欧州にて複数取得
- 学会発表:機械学会・自動車技術会等で複数報
- 受賞歴:動力技術系の表彰あり
- 実機:エアエンジン搭載ゴーカート(走行実証済)
- 派生応用:医療機器・空調機器・各種ポンプへの展開検証中
共同研究者の声
機械工学の標準的な教科書では『往復運動と回転運動の変換は、必ずクランクの特性損失を伴う』と書かれている。
エアーサーフさんとの共同研究は、その前提を疑う作業だった。
20 年は決して短くなかったけれど、特許で裏付けられた理論と、実際に走るゴーカートという事実──このペアは、教科書を書き換える根拠になり得る。そして何より、この技術がやがて医療機器や家電に降りていって、誰かの暮らしを静かに支えるところまで届くなら、それが研究の本懐です。──共同研究者・大学教員(許諾を得て要約)
学んだこと
動力技術の基礎研究は、5 年や 10 年では終わりません。20 年というのは、いま生まれた子どもが大人になる時間です。
それだけの時間をかけて磨いた技術は、その後 50 年、100 年と暮らしの底で働き続けます。
短期で答えを出す仕事ではない。けれど、長く効く仕事ではある──私たちはこの案件で、その確信を得ました。

